これまで、アンプラグド・プログラミングの課題の問題点を解消すべく、レーンやステップを組み合わせたフローチャートの描き方を述べてきましたが、次は、交差点の横断歩道を“安全”に渡ることを題材に、先生と児童との会話形式で段階的に完成させていく方法を考えていきたいと思います。
題材そのものというより、色々な進行の仕方があったり、どの点に重きをおいて児童に『考える』を実施してもらうか、自身が授業を実施するにあたり想像を膨らましてください。
日頃から通っている通学路であっても意識して見ていないと思い出せないことがあったり、題材によっては、聞いたことがあってもその存在を見たことがないものもあるかもしれません。
そのような場合に思考の助けになるのがイメージ図です。イラストや写真、またそれらを組み合わせるなど、フローチャートと併せることで気付きや思考、想像の促進に役立ちます。
【指導1】常に児童に問いかける言葉は、「これで安全に渡れますか?」
【指導2】歩行者信号は、「青点灯」と「赤点灯」だけでしょうか?
【指導3】なぜ、「右・左・右」をこの順番に確認するのでしょうか?
「右左右確認」は、日本では車は左側通行(右側から走ってくる)なので、「右」を先に確認します。次に、左側から走ってくる反対車線の車は止まっているか「左」を確認します。
最後に、「右」を確認するのは、左側を確認している約 1秒の間に、また右から車が来ていないか確認します。先頭車両が止まっていなければ、突っ込んでくる可能性もあります。時速 60km/h だと、1秒で約 16m も進むため再度、「右」を確認します。
さらに、渡り始めたら再度「左」を確認しながら渡る必要があります。それは、「左折、右折」車両が一時停止を守っているかどうかの確認です。
車両確認は、左右からの車両と左折右折からの車両の両方を確認しなければ、“安全”に交差点の横断歩道を渡ることはできません。左右の確認は本当に赤信号で車が止まっているかの確認で、左折右折車の確認は、歩行者優先というルールを車が守って一時停止しているかの確認です。
信号機はプログラムされていても、車の運転手はプログラムされていません。歩行者信号機は歩行者がいてもいなくても「青点灯」「青点滅」「赤点灯」を間違えずに規則正しく繰り返します。
しかし、プログラムされていない車の運転手は、交通ルールを守らない人もいます。歩行者が渡っているのに突っ込んでくる車もいます。つまり、止まってくれる“だろう”とは考えずに、自分自身の確認をしっかり行うことが重要だと指導する必要があります。
自分自身も含め、周りの人間の行動や心は、決してプログラミングすることはできません。自然もしかり、人間とコンピュータが共存している社会の中で、特に人間は色々な人間がいて、ルールを守らない、思いやりもない人間も多いです。
プログラムされた歩行者用信号がたとえ「青」に点灯していても、渡ったとたん車にひかれるという事故は後を絶ちません。
■アンプラグド・プログラミング問題ワークシート【難易度:★★★★★】 | |||||
課題 | あなたは横断歩道を“安全に”渡ります。 | ||||
条件 | 車両も通行する十字路の横断歩道 | ||||
<フローチャート> |
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