【例題】
ノートと鉛筆を買ったところ、合計が110円だった。
ノートは鉛筆より100円高かった。鉛筆はいくらか?
ノートと鉛筆の合計が110円 ・・・ ノート + 鉛筆 = 110
ノートは鉛筆より100円高い ・・・ ノート = 鉛筆 + 100
代入法により、
鉛筆 + 100 + 鉛筆 = 110
2 鉛筆 = 10
鉛筆 = 5
∴ノート = 105
このような、二元一次方程式(連立方程式)の代入法は、中学生から習いますが、プログラミング的思考を活用すれば、小学生でも論理的に解くことができます。
現在分かっていることを冷静に把握し、考えやすくするために分解して整理することができるかどうか。
1.合計金額は、110円
2.商品金額の差は、ノートが鉛筆より100円高い
3.商品数は、2点
今課題となっていること、問われていることは何かを理解できるかどうか。現状把握し、事実情報を整理したことで分かったことはないかを考えてみます。
4.鉛筆はいくらだったか?
5.どちらかの金額が分かれば、もう1つの金額が分かる
ものごとを単純化すると重要なことが見えてきます。単純にするにはどうすればいいかを考えさせる。
6.仮に鉛筆が「0円」だった場合(仮定法)、差は必ず100円なのでノートは100円
しかしこれでは、合計が10円足りないことが分かる
7.この100円差を維持するためには、不足している10円を2つの商品に均等(差を維持するため)に
分配すればいい…ということが分かる
仮説のアルゴリズム(導出方法)が他のケースでも通用する必要があります。通用しなければ、このアルゴリズムは正解が分かっている状態での単純な逆算ということになり、正解になるように寄せた思考プロセスになってしまった状態です。
8.他の合計と差でこのアルゴリズムが正しいかどうか検証する
① 例えば、合計を123円、差額を101円とする
② 鉛筆を0円とした場合、ノートは101円となる
③ 不足分は、123-101=22円となり、それぞれに分配すると
鉛 筆: 11円(22÷2を分配)
ノート:112円(22÷2を分配)
④ 合計は123円。鉛筆11円とノート112円を足すと、123円となり、正しい
差額は101円。ノート112円から鉛筆11円を引くと、101円となり、正しい
証明問題と同じように、結論をしっかり述べることも大切です。仮説と検証が根拠となるので、胸を張ってこれで間違いないと言える大切なプロセス。
9.結果、アルゴリズムとしても正しいため、両方に5円ずつ分配すると、
鉛筆は5円、ノートは105円となる
例題では、「差額を維持しなければならない」という絶対条件に気付くことができるか、「矛盾」や「差額」に気付くことができるか、でした。【現状】⇒【課題】⇒【仮説】⇒【検証】⇒【結果】というプロセスは、指導する必要がありますが、一つひとつのプロセスについて、じっくり考えさせることが思考力育成には大切で、「結果」より「プロセス」が重要になります。
児童が、先走って結果や正解だけを早く求めようとしている場合は、軌道修正が必要です。順に一つひとつのプロセスの中で、『考える』ことで得られた成果の積み重ねが、結果として表れます。それを児童が「たぶん」や「なんとなく」ではなく、自信をもって自分の言葉で説明できなければ意味がありません。
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